環境アーカイブズ担当教員の清水准教授が労働資料協主催ワークショップの講師を務めました

2018年7月9日(月)社会・労働関係資料センター連絡協議会(略称:労働資料協)のワークショップが都内・連合会館で行われました。


【社会・労働資料の整理ワークショップ概要】
開催日時:7月9日(月)13:00-16:45
場所:連合会館205会議室 東京都千代田区神田駿河台3-2-11
内容:アーカイブズの構造と記述について学び、目録を書いてみる
講師:清水善仁(法政大学大原社会問題研究所准教授)
コメンテーター:平野泉(立教大学共生社会研究センター・アーキビスト)
参加者:24名

講師は環境アーカイブズの清水善仁准教授、コメンテーターには、環境アーカイブズニューズレター第3号にも寄稿いただいた平野泉さんが登壇されました。司会は大阪産業労働資料館(エル・ライブラリー)の谷合佳代子さんが担われ、開会のあいさつを大原社会問題研究所の鈴木玲所長がおこないました。
ワークショップの前に清水講師から「アーカイブズの整理と目録の作成」と題して、アーカイブズとはなにかという定義からはじまり、3つの原則(出所、原秩序尊重、原型保存)、図書館分類との比較、資料群を1つのまとまりとしてとらえそこから構造を見いだすなど、アーカイブズ資料をあつかう際の基礎となる考え方について講義がありました。

その後、講義の内容をもとにして1時間程度のワークショップがおこなわれました。参加者は4つの班にわかれ、労働組合の資料をつかいながら、資料群の編成をおこない、アーカイバル記述の国際標準であるISAD(G)の項目をとりながら記述をおこないました。1時間があっという間に感じるほど各班議論は白熱し、まとめるのに苦労しましたが、各班が考えたツリー構造の編成図とアーカイバル記述を模造紙に書いて、各班10分ずつ発表しました。発表に対して、平野、清水両講師から講評をいただき、アーカイブズ資料をあつかうための基礎を体感することができました。とくに平野講師から、労働組合資料の場合は、規程集、大会資料、機関紙/年史、委員会議事録といった組織の動きがわかる資料をまず調査して、組織の構造を見ることが第一段階となるのではないかという提案がありました。

さいごに質疑応答形式で、参加者が日常直面している資料のあつかいかたへの疑問、悩みについて発言がありました。とくに書庫がいっぱいで収集したくても受け入れに躊躇してしまうという悩みは参加者共通でした。それに対して、こうしたワークショップなどをきっかけに、各組織が顔の見えるかたちで連携し、「私どもはこの資料を受け入れできないけれど、あそこなら」という関係ができればという意見がだされました。

【ワークショップに参加して】
ワークショップ参加者からは、アーカイブズという言葉は知っていても、資料がつくられた背景から資料群全体の構造を知るという考え方にふれたのははじめてだったという意見もありました。あるいは、別々の資料群に同じシリーズの雑誌があれば、まとめて展示したくなるという意見もありました。
それぞれの立場で資料への向き合い方は変わってくると思います。さまざまな立場の方と意見交換ができる場がつくられることで、悩みの共有が可能になり、互いに発展できるようになるのではと感じました。

文責:川田恭子

※社会・労働関係資料センター連絡協議会(略称:労働資料協)は1986年発足、社会・労働問題に関する資料を広く収集・公開している諸機関が資料の保全と利用促進に寄与することを目的として連携している団体です。代表幹事を大原社会問題研究所の鈴木玲所長、事務局をエル・ライブラリーの谷合佳代子さんが務められています。くわしくはこちら