ごあいさつ

Greetings

 法政大学における環境アーカイブズの取り組みは2008年9月に始まりました。これまでに環境問題をはじめ、薬害、原発、市民活動等、多岐にわたる資料を収集し、整理・保存してきました。法政大学の学生はもとより、学内外の研究者の求めに応じ、広く閲覧に供しています。

 アーカイブズという記録資料が残されることで、われわれは様々な観点から過去の出来事を把握し、あるいは人々の生活や活動の諸相を知ることができます。アーカイブを研究や教育に活用することによって新たな発見を導くことが可能となります。そして将来の世代に資料を伝えていくことが現代に生きるわれわれの責任でもあります。

 環境アーカイブズは、これまで収集してきた資料の整理・公開を積極的に進めるとともに、貴重な資料の保存と継承のために努力してまいります。ぜひ多くの方にご利用いただいければと思います。皆様のご来訪をお待ちしております。

法政大学大原社会問題研究所所長 榎一江

環境アーカイブズカウンター 資料群目録等ファイル棚
環境アーカイブズ書庫

 アメリカ国立公文書記録管理局(国立公文書館)本館の玄関彫像には、次のような言葉が刻まれています。

   The heritage of the past is the seed that brings forth the harvest of the future.
   (過去の遺産は将来の収穫をもたらす種子である)

 公文書や歴史資料等、アーカイブズとして保存されている「過去の遺産」には、人々の営みや組織の活動にかかわる多様な歴史が書き残されています。したがって、現代を生きるわたしたちがそれを読むことによって、過去から多くのことを知り、学び、活かすことができる ― だから、「将来の収穫をもたらす種子」なのです。

 アーカイブズとは、将来にわたって保存すべき記録のことを指し、そうした記録を適切に管理・公開する公文書館等の施設、さらにその機能やシステム自体を意味します。日本では少しずつ認知されてきましたが、いまだに人口に膾炙している言葉とは言えません。それでも行政機関や企業、大学等がアーカイブズの重要性を認め、近年その取り組みは拡がりをみせています。

 わたしたち環境アーカイブズも、その一つです。

 環境アーカイブズは、国内外の環境問題、薬害問題、原発問題などの資料を整理・公開し、研究・教育に広く資することを目的としています。資料の多くは、研究者個人や住民運動団体等で保存されてきましたが、研究者の引退や団体の解散にともない、そうした貴重な資料が処分あるいは散逸する恐れがあります。そこでわたしたち環境アーカイブズは、そうした資料を収集・整理し、広く一般に公開することで、貴重な資料を活用してもらうとともに、それらを将来世代に継承する役割を果たします。

 環境アーカイブズという「過去の遺産」には、「将来の収穫をもたらす種子」がたくさん詰まっています。
 わたしたちも日々の資料整理や展示企画、あるいはホームページやSNSなどを通して、環境アーカイブズの資料や活動をご紹介していきます。ぜひ多くの方にご利用いただきたいと思います。

法政大学大原社会問題研究所環境アーカイブズ