2018年度公害資料館ネットワーク資料研究会開催報告

2018年10月6日(土)法政大学多摩キャンパスにおいて、〈公害資料館ネットワーク資料研究会〉を開催しました。(法政大学大原社会問題研究所環境・市民活動アーカイブズ資料整理研究会と共催)

今回は、12月の公害資料館連携フォーラムの準備研究会として、法政大学大原社会問題研究所環境アーカイブズ所蔵の「スモンの会全国連絡協議会・薬害スモン関係資料」から実際に数点を選び、キャプションをつけるというワークショップをおこないました。

最初に、資料の背景となる薬害スモンについて、および資料群の作成主体であるスモンの会全国連絡協議会(略:ス全協)についての概要説明がおこなわれました。薬害スモンとは、胃腸薬キノホルムによる薬害で、日本では1955年ごろから厚生省がキノホルムを販売停止とする1970年まで各地で患者が発生しました。患者数は、厚生省の発表でも1万2000人を超えています。

スモンがキノホルムに由来する薬害とわかり、患者たちは薬害蔓延の責任を問うため、国と製薬会社を相手に裁判をおこないました。この裁判闘争をけん引したのが、最大の患者組織であるス全協です。

環境アーカイブズで所蔵する資料群は、ス全協が活動期に作成、収集したもので、集会のビラやポスター、会報、裁判資料、製薬会社からの回答書、横断幕などがあります。(くわしくは、こちら

これら約1万点の資料のなかから、ス全協の活動をあらわす20点の資料を選び、2人ペアになって、タイトル、作成年月日、内容概略、キャプションをつけてみました。一目ではタイトルや作成年がわからない資料は、年表や参考文献などを引きつつ、調査を行いながら作業を進めました。キャプションのつけかたはそれぞれのペアでことなり、タイトルを付す人、内容がわかるような短文を付す人、目を引くような象徴的な一文を付す人、さまざまでした。

こうした作業の流れは、実際に収集資料の目録をつくる際におこなうものとも共通しています。実物の資料をもちいながらグループでおこなう資料整理実践型のワークショップとなりました。

今回の研究会で得た知見をふまえ、12月14-16日開催の第6回公害資料館連携フォーラムin東京(於:法政大学多摩キャンパス)の資料分科会(15日)でも薬害スモン資料をもちいたワークショップをおこなう予定です。

 

文責:川田恭子